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名古屋議定書の対応について

1.概要

 生物多様性条約の目的の一つである、「遺伝資源※1の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分:Access and Benefit Sharing (以下「ABS」という。)」を実行するための国際的なルールとして名古屋議定書が平成26年に発効した。日本は、平成29年8月20日に締約国となり、国内措置である「遺伝資源の取得の機会及びその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分に関する措置による生物多様性の確保に関する指針」を定めた。

今後、教員等が海外から遺伝資源を日本に持ち込む場合、事前にABSに対応する手続きを行うことが重要となり、必要な手続きを怠った場合、研究の差し止めや研究論文が承認されない等の可能性があり、研究の推進に大きなリスクとなる。

そこで本学では、次のとおり対応することとする。

※1 遺伝資源とは、「遺伝の機能的な単位を有する植物、動物、微生物その他(ウイルスも含む)に由来する素材のうち価値があるもの」で、例えばウイルスや種子、薬草の効果等の伝統的知識も含まれるが、ヒトの遺伝資源は含まれない(平成29年10月現在)。

2.遺伝資源取得の手順(別紙1参照)

  • (1)海外の研究者及び遺伝資源提供者等(以下「研究者等」という。)から海外の遺伝資源を取得し研究を検討している教員は、研究推進課研究総務係(以下「研究推進課」という。)まで連絡する。また、研究室所属の学生または研究員等が利用する場合も指導教員が連絡する。(独自に判断せず、まずは研究推進課に連絡すること。)

    (例)・海外の遺伝資源を用いた研究を行う。

       ・海外の研究者等から海外の遺伝資源の提供を受けて、共同研究を行う。

       ・海外遺伝資源に関連した伝統的知識(例:薬草の効能等)に関する研究を行う。

       ・留学生が自国の遺伝資源を日本に持ち込み、研究を行う。

  • (2)研究推進課は、名古屋議定書による提供国との手続きの有無について、国立遺伝学研究所に確認する。
  • (3)手続きが必要な場合は、提供国の研究者等の所属機関(以下「所属機関」という。)と本学との間で共同研究契約書等を結ぶ。この際、MAT※2を取り決めて記載する必要があるため、教員は提供国の研究者等と調整する。(共同研究等の契約事務手続きは財務課が行う。)
  • (4)提供国の研究者等や所属機関の協力の上、教員が提供国政府からPIC※3を取得する。提供国政府とのやり取りや手続きにおいては、提供国の研究者等や所属機関の協力が重要である。
  • (5)提供国の研究者等から、遺伝資源の提供を受けた場合は、研究推進課に連絡すること(提供国から日本に遺伝資源を持ち込む場合を含む)。なお、取得したPIC等の写しを研究推進課で記録として管理する。なお、手続き上、教員個人が署名した場合であっても、その写しを研究推進課で保管するため、提出すること。
  • (6)研究推進課は、遺伝資源取得後にABSクリアリング・ハウス(国際情報交換センター)※4に国際遵守証明書(IRCC)が掲載したことを確認し、環境省へ報告を行う。さらに、この報告から概ね5年後に、環境省から遺伝資源の利用に関するモニタリングを受ける。

※2 MAT(Mutually Agreed Terms)とは、ABSに関して相互に合意する条件のことを指す。具体的には、提供国への利益配分(例:特許共有、ロイヤリティ)のことであり、学術研究の場合は、論文共著等、非金銭的な利益配分となる。 

※3 PIC(Prior Informed Consent)とは、遺伝資源の提供国の政府もしくは管理当局から発行される遺伝資源取得についての同意書。国によってはPICが不要な場合もある。

※4 ABSクリアリング・ハウス(国際情報交換センター)は、各締約国において議定書の実施に関する情報を提供するための組織。

3.関連リンク

4.担当・問い合わせ先

研究推進課研究総務係
電話:045-339-3075(内線3075) 
e-mail: kenkyu.somuynu.ac.jp

Last update:2018/01/29